── 通販、百貨店のダイレクトマーケティングにおける課題は?
今までCRMとかダイレクトマーケティング、といった事が10数年前からずっと言われ続けているので皆さん意識してやっているのですが、最新のソフトやテクノロジー、手法などを使いきれていないかとに思います。一回作ったものをずっと使っている。体質もあると思うのですが、一度にお金をかけすぎているので新しいやり方を少しずつ取り入れるのが難しい。データマイニングというと、ものすごく難しいように聞こえるので取り組むときに躊躇されるのですが、やってみたら実はそんなに難しいことではなくて、人間が計算できないところをコンピューターがかわりにやってくれるだけのことなんです。
── 百貨店様ですと、友の会などを使って顧客データベースを取ろうと努力はされていると思うのですが、あまり効果的に活用されていない気もしますよね。
そうですね。昔からいわれていることですが、CRMというのは全社的な取り組みであるべきです。1人のお客様のデータは1つのデータベースに入っているべきで、複数のチャネルでのアプローチ結果や購買履歴を一元管理していく、というのが理想的なやり方なのです。それが縦割りになってしまって、データを活かしきれてない会社が多いように思います。
ネット通販ではネット通販、店舗では店舗、カタログではカタログ、というように、お客様を縦割りで管理してしまっていて、取り合いというと変ですが、店舗の客をネットで取るなということになってしまう。マルチチャネルで全社対応できれば顧客満足もあがるだろうし、全体としての利益も絶対にあがるはずなのに、そこまでに至っていないのだと思います。
── お客様の購買分析などをベースにした完全なOne to Oneのコンタクトはいわゆるマスマーケティングとは全く対極にあるようなアプローチですが、クライアントの反応はどうなのでしょうか?
例えばダイレクトマーケティングで、いまや伝統的なやり方になっていますが、RFM分析というのがあります。R(recency)とF(frequency)とM (monetary)でお客様をいくつかのセルにわけて、セルごとに対応していこう、ということなのですが、そこを深くやろうとすると、今までは7個のセルだったのを10個にしていく、といったようにだんだんセルを細かくしていく傾向があります。担当者の方は熟練しているので効率効果が良くなっていくのは間違いないのですが、そうすると徐々に複雑になっていくので、人が引き継げない世界になってしまいます。
一方、データマイニングのOne to One分析のとても優れているところは、One to Oneだから細かくて難しいだろう、という事ではなくて、逆に人間にとって一番簡単な分析の方法なんです。例えばRFMでは、3つの軸でお客様を分類しているので解釈が難しくなることがありますが、データマイニングでは最終的に1つの軸でお客様の購買確率などの点数をつけていくだけなので、すごくわかりやすいんです。1人1人に0.00いくつ違いの点数がふられていく、それをソートして並べる。100万人のお客様がいれば1位から100万位までの点数をつけて並べてくれますから、例えばキャンペーン対象者が10万人であればスパッと線を切れるわけです。担当者にとっては非常にやりやすい。後は精度に対する信頼性の話になりますが、分析過程はブラックボックスになりがちなので、効果検証を示しながら進めていく必要があります。
── 仮説を立てて検証していく、というプロセスにはお金がかかるということをお客様に理解していただけないと我々のビジネスは伸びていかないと思うのですが・・・。
データマイニングが優れている点は、実際にテストをしなくても、過去に実施したことを(まだ実施していないことにして)検証ができるという点です。例えば去年の12月の実際に行ったキャンペーンについて(実施していないことにして)、去年の10月までのデータだけで予測してみるのです。予測結果と、実際は既に行われた12月のキャンペーンのデータを比較して、データマイニングアプローチを適用したらもっと結果が良くなってたんじゃないの?ということが分かるのです。そこで明らかによい結果が出るので、次のステップ(本格的なデータマイニングの採用と実運用)に、つなげてもらえることになります。
最初のテスト運用では、全部のお客様に対してではなく、ランダムに抽出した2つのグループを用意して、一方は今までと同じやり方で、一方はデータマイニングによる結果を適用して実施します。これまで我々がお手伝いしたほとんどの企業において、必ずよい結果が出ておりまして、そうやってよい結果が次々に示されると、企業の担当者はデータマイニングをやりたくてたまらなくなってしまいます(笑)。
ただ、我々がまだまだ弱いなと思うところは、分析ばかりずっとやってきたので誰が離反する確率が高いか、という点数をつけるところまではできるのですが、離反する人が分かってもこれを止める為にはどうしたらいいのか、というのは分析屋だけではできない。そこからはマーケッターの方たちとの連携が必要で、うまく連携できれば最高のソリューションが提供できることになると思います。
── そこは我々が出来ることなので。ある程度離反する人が誰だというのがわかれば、離反防止のためにどういうメッセージを組んでいけばどういう確率で離反しないのか、というところが実務的に、業務フローの中でできているので、そこで御社との補完関係があると思っています。
Interview(Part1) データ分析の戦術と戦略 >>