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Eメール:顧客をつなぎとめるための秘密兵器


最近の経済活動では、われわれマーケッターは、既存顧客をつなぎ止めることよりも、新規顧客の獲得に熱心になってしまう。しかし、平均的な企業が、新規顧客を獲得しようとすると、既存顧客を維持することに比べ、5倍から10倍も費用がかかる。


実は、トップ企業になるために大切なのは、ロイヤリティの高い顧客との関係を築き上げることだ。顧客情報を活用して、Eメールのような新しく発展性のある媒体を効率良く使えることこそ、競争力の点で一番勝っていると言える。ライバルとの競争は、意義深く中身のある関係を顧客との間で維持すると共に、タイムリーで効率的な媒介を使っていくということにあるのだ。


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アル・ディグイド氏(Epsilon Interactive 社 CEO)


メディア関連とマーケティングの予算が削られていく中で(プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)社が最近行った広告費削減決定を思い出していただきたい)、戦いに勝つためには、コスト効率が良くて効果的な作戦が欠かせない。顧客データを、適切なコミュニケーションのために使うことは、もはや選択肢ではなく必須要件である。顧客の行動や嗜好を研究しておかなければ、媒体の種類にかかわらず、企業は大量のスパムメールの送り手となってしまう。


企業が、異なるタッチ・ポイントの間での調整や交流を怠ると、顧客との信頼と良好な関係を台なしにしてしまうという例はいくらでもある。最近私が自動車保険会社との間で経験したことを例として挙げてみよう。


この保険会社は、テレビ・コマーシャルで自分たちが顧客に対し親切であることを強調している。セールスポイントは明快だ。「われわれはお客様の声を聞きます。他社はそんなことはしていません」というものだ。


現在、わがディグイド家の前庭は、洒落たレストランの駐車場のように見える。私と妻、そして子供達の分を含めて、ある時は、8台の車の保険契約をその会社と結んでいたことがあった。少し前のこと、私は保険金の支払いを、請求書の自動支払いオプションで管理しようと決めた。そうすれば、気にかけるべきことが一つ減る。…いや、そうなるはずだと思ったのである。


3週間前のこと、郵便箱を開けたら、人目を引くピンクの封筒が目に入った。差出人は、その保険屋であった。私は最初、「ほお、ピンクか。何かのお知らせだろう」と思った。雑多な郵便物の山の中からピンク色の封筒が顔を出して、注意を引こうとしている。何か重要なことに違いない。


中のお知らせは、保険料未払いのために、私の保険が6月30日木曜日の午前12:01分をもってキャンセルされるというものだった。そして、保険未加入の車の運転を規制する法律に違反するということで、陸運局へ通報されると言うのである。私は何かとんでもないことが起ったのではないかと、すぐにオンラインでチェックを始めた。おそらく自動支払いが正確にプロセスされなかったのだろうと思った。しかし、そうではなかった。支払い状況を見ると、「保険料はすべて領収済み」と書いてあるではないか。


私は無料のカスタマーサービスに電話して、自動電話メニューを操作した。(これは「時間を無駄にせず、より良いサービスを提供するため」なのだそうだ。)すると、とても感じの良いオペレーターと電話がつながった。


私が状況を説明すると、オペレーターは、私の記録を自分のコンピューターでチェックして、やはり保険料が払われていないと言う。そこで私は、「でもネットで支払いを済ませたのですが」と答えた。彼女は、当惑した様子で「少々お待ちください」と言う。そして5分後に、戻り平謝りした。「あのお知らせは破り捨てて下さい。保険料はすべて支払われています。ご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした。」


どうしてそれがわかったのかと私が尋ねると、彼女は次のように答えた。「別室に行って、お客様の契約状況をオンラインで調べてみたのです。それから、私のコンピューター上の記録をアップデートしました。」


つまり、保険会社のオフライン・システムが、オンライン・システムとつながっていなかったというわけだったのだ。


何年にもわたって何万ドルもの掛け金を支払ってきたのに、結局は「2つのシステムは、お互い口をきかないのです。すみません。」で済まされてしまうとは…。


一人一人の顧客のタッチ・ポイントをきちんと管理し、システム上で情報を共通化しないと、顧客からの好感度や忠誠心を損なうことになる。オンラインによる支払いサービスを頻繁に使う客としての立場から言わせてもらうと、Eメールで顧客へのサービスを向上させるためには、次のような方法がある。


心構えを変える
Eメールが一回きりのキャンペーンだと考えることをやめる。Eメールは顧客との会話だと考える。私のケースだと、支払い明細書はちゃんとあったのだが、支払いの確認は存在しなかった。


顧客サービスを考える
Eメールを顧客サービスのプロセスと結びつける。顧客が疑問や懸念についてEメールで問い合わせられるようにする。


ライフ・サイクルでのコミュニケーションを考える
Eメールは売上げ促進のためだけではない。マーケティングや売上げ促進とともにサービス・メッセージを含んだ顧客との関係のすべてに関わるものである。Eメールは、常に適確で、個人向けで、タイムリーであるべきだ。私の保険会社との関係で言うと、保険会社がすでに失ってしまったチャンスがいくつもある。顧客をひきつけておくためのプログラム、アップセルのオファー、調査、サービス・メッセージ、それに、私を顧客として取り戻すためのオファーも送ることも出来たのだ。少なくとも、謝罪くらいはあってしかるべきだった。


ライフサイクルを通じた戦略的なEメール・コミュニケーションのためのプログラムを作って、顧客と会話をし、企業価値やROIを高めることを、ほとんどの企業がやろうとしないのは何故だろう? 顧客関連のシステムを一本化する企業さえほとんどない。現代はマルチ・チャネル・ワールドなのだ。「複雑だから」という言い訳は、受け入れられない。世界は複雑だが、それを克服しようではないか。


エゴと既得権益は捨ててしまおう。使命感を持ってチームとして働き、総合的なコミュニケーションと、顧客のプロファイルに沿ったメッセージの送信を確立しよう。CRM(顧客関係管理)のためのコミュニケーション・システムと活用し、顧客があなたの会社の商品とどのように接触しているのか、広い視野でとらえるようにしよう。私の保険会社は、あの日、ロイヤリティの高い顧客をつなぎとめる戦いに負けた。そんなことは長い目で見れば大したことではないと言うのであれば、冗談じゃない。


かわいらしい広告や洒落たSEO(Search Engine Optimization=サーチ・エンジンの最適化。検索結果のランキングを表示することで、サイトへを訪れる人の数を増やそうとすること)で、顧客とのコミュニケーションや関係構築への怠慢を補うことはできないのである。


では、また次回まで。

 
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